利益相反取引の注意点について説明してください

 

利益相反取引に当てはまる行為には、まず、理事長が自己または第三者のために医療法人と取引しようとする場合(直接取引による利益相反)があります。直接取引による利益相反取引の例は次のようなものです。
・理事長と法人間で行われる売買契約
・法人から理事長へ行われる贈与
・法人から理事長へ行われる債務免除
・理事長からの利息が付いた法人への金銭貸付
・理事長が受取人となる法人からの約束手形の振出し
次に、医療法人が理事長の債務を保証すること、その他理事長以外の者との間において医療法人とその理事等との利益が相反する取引しようとする場合(間接取引による利益相反)があります。間接取引による利益相反取引の例は次のようなものです。
・理事長と第三者間の債務を法人が保証する契約
・理事長が第三者間とする債務を引き受ける契約
相反取引を行う場合は、以下のいずれかの手続をとる必要があります。
・社員総会で取引について承認を得る(社団法人)
・定款・寄附行為で、理事長個人と法人の利益相反取引について法人を代表する者を定めておく
・都道府県知事に特別代理人の選任を求めて、特別代理人が法人を代表して契約を締結する
ただし、理事長と法人の間の取引であっても、法人の財産に損失を与える可能性のない取引であればこのような手続を履行する必要はないです(理事長が法人に財産を寄附するというような取引など)。理事長が所有する土地(時価1億円)を、次の価格で医療法人に譲渡した場合の理事長及び医療法人の課税関係は、例えば8,000万円(相続税評価額)で譲渡した場合には次のようになります。
・理事長に対する課税
理事長が医療法人に対して時価の1/2以上で譲渡しているため、相続税財産評価額8,000万円で譲渡したものとして税金が計算されます。
・医療法人に対する課税
医療法人が受け入れた土地の時価1億円と、実際の受入価8,000万円との差額2,000万円が医療法人の受贈益となり、法人税が課税されます。
4000万円で譲渡した場合には次のようになります。
・理事長に対する課税
理事長が医療法人に対して時価の1/2未満で譲渡しているため、時価の1億円で譲渡があったものとして税金が計算されます。
・医療法人に対する課税
医療法人が時価より低い4,000万円で資産を受け入れているため、時価1億円との差額6,000万円は医療法人の受贈益となり法人税が課税されます。

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