医療法人の出資金評価について教えてください

 

出資金も一般法人の株式と同様で、税務上は「取引相場のない株式」に該当し相続税の課税対象となります。つまり、相続の際には相続税評価額で算定し、その時点での時価を算出します。しかし、基本的には税金を払った後の利益が蓄積されて内部留保が厚くなるほど評価額は増えていきます。例えば、理事長が出資金5,000万で事業を開始し税金を払った後の利益800万が2年蓄積されると、相続税評価のもととなる純資産価額(法人の正味財産、相続税評価はこれだけではないが)は5,000万から6,600万になります。これを10年続けると純資産価額は5,000万が1億3,000万円になります。つまり、利益を出し蓄積していくほど相続財産が増えていきますし、この出資金は前述したように「取引相場のない株式」であり簡単に換金できません。出資金の評価額を下げるポイントは、以下のように医療法人の純資産価額を引き下げることです。いずれの方法も、理事長が退職を計画した早い段階から検討して試算することが大切です。
・土地、建物等を取得する
不動産の相続税評価額は売買時価より低いことが通常であり、土地、建物の取得価額と相続税評価額との違いに注目し、その乖離を利用する方法をとります。銀行借入を行った場合は借入利息が増加し、建物を購入した場合は建物の償却費が増加するなど、収益性も低下して大幅な評価減も期待できます。ただし、出資金の評価上、課税期間3年前に取得した土地及び建物については、通常の取得価額で評価することになっているので、乖離の効果を享受できるのは3年経過後となります。
・役員退職金の活用
理事長をご長男に譲ることにより、在職期間や法人への貢献度、類似法人の支給状況等を参考に退職する理事長へ退職金を支給することも有効です。役員退職金を損金算入することによって、出資金の評価額を下げることが可能です。
・生命保険の活用
後継者である長男を被保険者として、医療法人が契約者や受取人、保険料負担者である生命保険へ加入します。生命保険契約は解約返戻金の額をもって評価額としますが、解約返戻金は通常、支払保険料よりも少なくなるため純資産評価額を下げる効果があります。

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