出資持ち分の払戻し請求について教えてください

 

厚生労働省が公表しているモデル定款によると、持分の定めのある医療法人に限り、出資社員が退社する場合には、その出資額に応じて出資持分の返還を請求できることとなっています。出資持分を払い戻す際には「時価」が基準となりますが、「時価」は一般的に、「売買実例価額」や「相続税評価額」などをもとに計算します。ただし、定款において具体な定めがある場合は(払戻価額は出資額を限度とするなど)定款の定めが優先されます。退社した場合、その払戻金額は設立当初に出資した金額がそのまま戻ってくるわけではなく、退社時点で医療法人全体の出資持分を時価評価した上で払い戻されます。例えば、法人設立時に100万円の出資をして出資持分の時価評価が1,000万円であった場合は、退社にともなう払戻金額(1,000万円)-設立当初の出資金額(100万円)=配当所得(900万円)となります。配当所得は所得税における総合課税の対象となるので、給与所得等の他の所得と合算して所得税・住民税が課税され、最高50%の超過累進課税が適用されます。
医療法人の収益が高く保有する資産の含み益が多くなる、過去からの乗余金の蓄積が増えるというのは好ましいことのように思われますが、退社する社員へ払戻さなければならない出資金のことを考えると、一般的な時価評価に従って払戻し以外の方法も検討しておく必要があります。例えば、医療法人の設立時に1口1万円で出資された持分が、含み益や剰余金が蓄積されることにより払戻時にはその10倍、20倍、時には100倍の評価額に跳ね上がっていることもあります。そこで、一般的な時価評価ではなくあらかじめ定款で、退職時には実際に支払った出資額によって計算すると定めておくこともできます。それが出資額限度法人であり、社員が死亡した際の社員持分の相続税評価額の時価評価といった煩わしい作業からも解放されます。
出資額限度法人にも問題点がないわけではなく、例えば、一般の医療法人の大半は同族社員で運営されています。法人税法上、同族会社の扱いを受ける医療法人が定款を変更して出資額限度法人に移行したのちに社員が退社した場合、払い込んだ出資金の範囲内の払戻金に対して課税はなく、医療法人側にも受贈益課税は課されません。しかし、社員の死亡により相続人が出資および社員としての地位を相続した場合は、他の同族社員へのみなし贈与として課税対象となりますので注意しましょう。

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