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基金拠出の返還時期はいつになるのか?
設立総会や定款などで定めた定数を経過した後に、拠出金の返還時期となる。しかし、当初定めた年数を経過しても純資産額についての要件を満たしていない場合において、返還することが不可能となっている。
<解説>
当初定めた返還次期経過後に開催される定次社員総会の決議によって、基金の返還は、行わなければならないといえる。また、貸借対照表の純資産額が次の金額の合計額を超える場合において、その会計年度の翌会計年度の決算の決定に関する定時社員総会の日の前日までの間に限り、返還をすることが、その超過額を返還の総額の限度として、可能となっている。
(1) 資本剰余金の価額。
(2) 資産につき時価を基準として評価を行っている場合において、その時価の総額がその取得価額を超えるときは、時価を基準として評価を行ったことにより増加した貸借対照表上の評価。
(3) 基金の総額。
なお、基金の返還に係る債権には、利息を付することは不可能となっている。
参考
設立総会議事録より抜粋。
第4号議案 拠出申込み及び設立時の財産目録承認の件
議長は発言し、本法人設立の資産とするため、拠出を受けたい旨を述べたところ、設立者のうちから次のとおり拠出したい旨の申込みがあった。
○○○○ 預 金 9,800千円
合 計 9,800千円
議長は、前記の拠出の件について全員に発表したところ、一同これを確認し、承認した。拠出は基金拠出契約による。なお、○○○○は発言し、当該拠出金に関し、次のように述べた。
拠出金は医療法人社団××××設立認可後10年間が経過した後に、拠出者に返還すること。医療法人が解散した場合には、他の債務の弁済後でなければ拠出金を返還することができないこと。
議長は発言し、この結果本法人設立時の純資産額は金9,800千円とし、その財産目録は別紙のようになると示したところ、一同これを承認し、本案は可決された。
定款より抜粋
第 3 章 基 金
第5条 本社団は、その財政的基盤の維持を図るため、基金を引き受ける者の募集をすることができる。
第6条 本社団は、基金の拠出者に対して、本社団と基金の拠出者との間の合意の定めるところに従い返還義務(着ん背に害の財産については、拠出時の当該財産の価額に相当する金銭の返還義務)を負う。
第7条 基金の返還は、定次社員総会の決議によっておこなわなければならない。
2 本社団は、ある会計年度に係る貸借対照表上の純資産額が次に掲げる金額の合計額を超える場合においては、当該会計年度の次の会計年度の決算の決定に関する定時社員総会の日の前日までの間に限り、当該超過額を返還の総額の限度として基金の返還をすることができる。
(1) 基金(代替基金を含む)。
(2) 資本剰余金。
(3) 資産につき時価を基準として評価を行ったことにより増加した貸借対照表上の純資産額。
3 前項の規定に違反して本社団が基金の返還を行った場合には、当該返還を受けた者及び当該返還に関する職務を行った業務執行者は、本社団に対し、連帯して、返還された額を弁済する責任を負う。
4 前項の規定にかかわらず、業務執行者は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、同項の責任を負わない。
5 第3項の業務執行者の責任は、免除することができない。ただし、第2項の超過額を限度として当該責任を免除することについて掃射員の同意がある場合は、この限りでない。
6 第2項の規定に違反して基金の返還がされた場合においては、本社団の債権者は、当該返還を受けた者に対し、当該返還の額を本社団に対して返還することを請求することができる。
第8条 基金の返還に係る債権には、利息を付することができない。
第9条 基金の返還をする場合には、返還をする基金に相当する金額を代替基金として計上しなければならない。
2 前項の代替基金は、取り崩すことができない。
決算において作成する書類及び提出期限とは、何か?
決算において、医療法人が作成しなければならない書類は、財産目録、貸借対照表、事業報告書、損益計算書(以下「事業報告書等」)となる。
・ 会計年度終了後2月以内に、事業報告書等は、作成しなければならない。
<解説>
(1) 事業報告書の記載事項
事業報告書には大きく、(一)「事業の概要」、(二)「医療法人の概要」の2点が記載されます。
(一) 事業の概要
「事業の概要」には、「収益業務」「附帯業務」「本業業務」の概要の他、「当該会家年度内に社員総会あるいは評議員会で議決あるいは「同意した事項」等が記載されることになる。
(二) 医療法人の概要
「医療法人の概要」には、医療法人の「事業所の所在地」「設立登記月日」「名称」「設立許可年月日」そして「役員及び評議員」が記載されます。
「役員及び評議員」には役員の種別(理事、監事、評議員、理事長)、氏名、職務等が記載されるが、社会医療法人、特別医療法人そして特定医療法人を除き、医療法人は記載しなくても差し支えない。「役員及び評議員」の欄は、一般の医療法人についてのみ記載しなくても問題ない。
(2) 事業報告書等の作成
医療法人の透明性の確保を図るという目的から、医療法人は、医療法改正により、毎会計年度終了後2ヶ月以内に事業報告書、貸借対照表、損益計算書、財産目録、その他厚生労働省令で定める書類(以下「事業報告書等」という。)の作成が必要となった(医療法51条)。作成された事業報告書等は、理事から監事に提出されることになる(医療法51Ⅱ)。
監事は監査をし、監査報告署を作成することになる(医療法46の4Ⅲ三)。
(3) 都道府県知事への届出
社会医療法人を除いた医療法人は、次に掲げる書類を、毎会計年度終了後3ヶ月以内に都道府県知事に届け出なければならない。
(届出が必要な書類)
1、 監事の監査報告署
2、 事業報告書等
この規定に違反して都道府県知事に届出を行わなかったり、あるいは、虚偽の届出をした場合において、20万円以下の過料に処せられる可能性があるので、留意しなければならない。
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