医療法人のM&A について説明してください

 

M&Aは近年、企業再生の手法として活用されることが増えており、医療法人においても診療点数のマイナス改定や薬価の低下など、厳しい経営環境の中グループ病院として事業を拡大する方法として注目されています。医療法人の場合には負債が多額であっても、病院の敷地の利用価値が高い、病床の許可数が一定水準以上あるといった際には、会計数値では表せない価値が認められます。また、病院事業拡大のときには許可病床数が最も大きな制約となることから、他の医療法人を買収あるいは合併することによって病床数を増やすことは検討すべき有効な選択肢です。
合併・買収する側のメリットとしては、価値ある不動産や許可病床数等を手に入れることで、事業の拡大が比較的容易に実現できます。清算型の場合には、資産を相場より安く買い取ることができる可能性もあります。法人設立時の設定に問題があった場合や過去の債務が解消できず負担になってしまっている場合、あるいは業績の低迷などによって経営に行き詰まっている医療法人では、M&Aによって資本注入を受けることは経営改善を図るための一つの選択肢となります。ただし、この場合には経営権の譲渡が条件となることもあるので注意しましょう。清算型M&Aのメリットとしては、単純に事業を廃止してしまうと地域住民に対する医療活動や従業員の雇用の継続は断念せざるを得ませんが、M&Aによって他の医療法人に売却し、事業が引き継がれることになればその心配が解消されます。また、資産が有効に活用されるのは好ましいことですし、買い手側も債務をカットできて安く取得できる可能性があります。債権者のメリットとしては、経営能力の高い経営者を迎え、また資本注入も受けて事業が発展していくことは、医療法人の債権者にとっても保有する債権の回収の可能が高まることになります。
医療法人の合併は、医療法第57条によって要件が規定されており、その形態は社団か財団のどちらかとなります。医療法人は会社と違って法人分割は不可能です。医療法人社団は、総社員の同意を条件として他の医療法人社団と合併することができます。持分が定められている医療法人社団の場合には、その医療法人の持分を取得する形で合併が成立します。医療法人財団は、寄附行為に合併を認める記載がある場合に限り理事の3分の2以上の同意をもって、合併することが可能です。しかし、寄附行為に別段の定めが規定されている場合には要件とならないため、医療法人財団の合併においては寄附行為の記載によって変更手続が必要なことがあります。
医療法人社団および医療法人財団は、いずれも同種の医療法人とだけ合併することが可能です。合併の形態は新設合併でも吸収合併でも構いませんが、新設合併の場合も吸収合併の場合も、新設法人あるいは存続法人は消滅法人の権利義務のすべてを承継することになります。新設合併の場合には新しい定款や寄附行為の作成など、改めて法人設立のための事務手続が必要であり、この手続はそれぞれの医療法人で選任された者が共同しておこないます。このような煩雑さから、特別な事情がない限り新設合併ではなく吸収合併とする場合が多いようです。M&Aを検討する場合には、前もって対象となる医療法人の入念なデューデリジェンスを専門家に依頼しましょう。

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