役員退職金について説明してください
役員に対する退職金については、役員の勤続期間や退職の事情、同種同規模法人における役員退職金の支給状況を考慮し、以下のような計算式で算出します。
①功績倍率法
退職金=退職前の報酬月額×勤続年数×功績倍率
②1年あたり平均額法
退職金=類似比較法人の1年あたりの退職金平均額(※)×勤続年数
(※)①比較法人の役員退職金÷在職年数
②①/比較法人数
一般的にこの計算式であれば、相当とみなされ損金算入が可能であり、不相当に高額な部分は損金に算入されないので、適正な役員退職金を算出しましょう。
役員退職金の損金算入時期は、社員総会の決議等により、その額が具体的に確定した日の属する事業年度となります(確定日基準)。また、医療法人がその退職金の額を支給した日の属する事業年度において、その支給した額につき損金経理した場合には、その事業年度の損金として取り扱うことも可能です(支給日基準)。つまり、社員総会で金額を確定したとしても、実際に支給した日に損金経理すれば、その事業年度の損金として取り扱われます。なお、役員に対する退職金をその額が具体的に確定した日以後の事業年度に支給した場合に、その支給した額をその事業年度で仮払金等として経理処理を行い、その後の事業年度においてその仮払金等を損金経理により償却しても、損金の額に算入することは不可能となります。
また、退職金を支給した月の翌月10日までに源泉所得税を納付しなければならず、源泉所得税を納期限までに納めない際には、不納付加算税と延滞税が課されます。不納付加算税は原則10%ですが、税務署から通知などがくる前に自主的に納付すれば5%となります。なお、ある一定の要件を満たして延滞に正当な理由があったと認められれば、不納付加算税が免除されることもあります。役員の退職金の支給額を主観で判断するのはトラブルの元なので、きちんと役員退職金規定を定めましょう。