医療法人の海外研修の留意点について説明してください
海外研修旅行や海外出張の費用は、法人の業務に直接必要と認められる場合、研修費や旅費交通費等として経費扱いになりますが、直接必要でない場合は出張者や旅行参加者の給与扱いとなります。その費用に、法人の業務に直接必要な部分と、直接必要ではない部分が混在する場合には、直接必要でない部分の費用のみ参加者の給与となります。海外慰安旅行の費用は、以下の要件をすべて満たす場合に限り福利厚生費等とみなされ、参加者の給与にはなりません。医療法人では、医師が海外で開催される学会等に参加することは、知識や技術を習得して質の高い診療業務を営めることにつながるため重要です。学会等の費用は損金に算入することが可能であり、参加のための交通費、宿泊等の経費で通常必要と認められる額についても計上できます。
・外国での滞在日数が4泊5日以内
・旅行の参加人数が全体の人数の50%以上(工場や支店単位の場合は、それぞれの職場ごとの人数の半数以上)
・会社負担分が10万円程度(会社負担分が10万、従業員負担分がゼロでもよい)
研修とは関係のない観光費用は経費となりませんが、学会や海外研修の後に観光を行ってから帰国する場合、観光の後でも帰国費用は損金に算入することが可能です。海外渡航の直接の理由は学会や海外研修の業務の遂行ですから、現地までの往復旅費は業務遂行上必要なものとして取り扱います(参考:法基達9-7-9)。なお、事業の遂行上直接必要と認められる旅行と、認められない旅行とを併せて行った場合、事業の遂行上直接必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比率により、往復旅費を按分することとなります。海外研修では個人的な支出が出やすく、税務調査では学会の日程表や領収書等が確認されるので無くさないようにしましょう。