Archive for the ‘医療法人制度’ Category

医療法人の理事について説明してください

 

理事とは、医療法人の機関のひとつである理事会を構成する役員のことです。理事会は理事によって構成され、最高意思決定機関である社員総会により決定された基本事項に基づき、より具体的に業務の執行の内容を決定します。理事は社員総会で選任され、理事会のメンバ一として経営に参画しますが、経理担当理事などとして日常の業務に携わることが可能です。理事は理事会という機関で、法人の意思決定に基づく事実上の職務執行の権限を持ち、法人の常務を処理することとなります。よって、これらの権限を実行できるだけの能力を有していることが必要条件です。未成年者でも理事になることはできますが、実質的な実務の執行権限を有するかどうかは慎重に判断しなければなりません。また、開設するすべての病院や診療所、介護老人保健施設の管理者(院長等)は原則理事とすることになっています。これは、医療施設において医療業務について実質的責任を有している医師、または歯科医師である管理者の意向を医療法人の運営に正しく反映させることにより、医療施設の経営を適正にさせることを目的として定められたものです。ただし、医療法人の意思決定の最高機関は社員総会であり、社員総会において議決権や選挙権を持つのは社員だけです。理事には社員総会の議決権1を付与する必要はなく、理事を必ず社員にする必要もありません。また、成年被後見人または被保佐人は理事には就任できなく、医療法、医師法、歯科医師法その他医事に関する法令の規定により現在および過去2年間違反していない方、禁錮以上の刑に処せられて、刑を執行されているか執行猶予期間中でない方も不可能です。さらに、監事にはその職性から理事を兼任することはできません。
知人との信頼関係が十分でない場合などで、分院との関係性が悪化して分院の院長が突然退職するといったトラブルがあります。これは、分院長が就任する際に管理者、理事とはどのような立場であるのか、勤務条件はどのような内容なのか、将来的に法人としてどのような姿をめざすのか、などを十分共有できていないことが理由の一つです。また、就任後に十分なコミュニケーションがとれておらず、双方が今後どのようにしたいのか、何を考えているのかに溝ができてしまうこともあります。基本的なことですが、知り合いであることに甘えて勤務条件を明確にしないことも、後々のトラブルにつながることが多いです。様々なことの積み重ねの結果、時間が経つにつれ勤務条件の不満や急な退職によるトラブルが起こりがちなので注意しましょう。就任時にも就任後も心がけてコミュニケ一ションをとる機会を作ることが重要であり、特に他人である場合は信頼できる知り合いだからと甘えず、お互いに納得のいくよう密なコミュニケ一ションをとりましょう。

医療法人の社員について説明してください

 

医療法人設立とは、設立を目的に集まった人々が財産を拠出して法人を設立することであり、この集まった人々が社員です。拠出をした人は一般的に社員になりますが、拠出をしていない人でも社員になることが可能です。社員は自然人に限られるため、株式会社等や医療法人が社員になることはできなく、原則的に3人以上とするのが都道府県の指導となっています。
株式会社での株主総会に当たる社員総会に出席できるのは社員のみです。社員総会での議決権は拠出額にかかわらず、1社員につき1個のみです。株式会社では持株数に応じて議決権が行使されますが、医療法人の場合は社員に1議決権となるので株式会社とは異なります。社員となりうる資格について、法律では意思能力があればよいことになっていますが、都道府県の一般的な指導では未成年者は適当ではありません。また、基金拠出型医療法人と違い、経過措置型医療法人は社員が拠出ではなく出資しています。出資持分とは、医療法人社団設立時に出資した財産額に応じて、法人の資産に対して持分相当の財産権を持つということです。よって、社員は出資持分に応じて財産の払戻しを請求できる権利を有していますが、社員としての地位を継続した状態で財産払戻しの請求をすることは認められていません。つまり、退社・除名・死亡により社員資格を喪失した際に払戻請求権を行使する場合、そして、医療法人社団が解散して残余財産請求権を行使する場合にのみ、出資持分を請求することが可能ということです。

医療法人の機関について説明してください

 

医療法人社団の運営機関には、社員総会、理事会並びに監事があり、医療法人財団の運営機関には、理事会、評議員会並びに監事があります。医療法人社団においては社員総会が法人の最高意思決定機関であり、ここでの法人運営の重要な事項については社員総会の議決が必要です。医療法人社団には、運営機関として社員総会と理事会が設置されており、社員総会は定時総会と臨時総会とに分けられます。
法人の行う行為はすべて定款等法令または社員総会の決定に拘束され、理事長でも独断の処理はできません。日常の業務については社員総会等の委任を受けているものとみなしますが、一定の範囲を超える新たな業務(高価な物品の購入、改修、借入金)は、必ず法人の最高意思決定機関である社員総会の議決にて決定します。社員総会は定款の定めにより定期的に開催する必要があり、議決すべき議題がある場合にはその度に臨時総会を開催することができます。理事会は社員総会で決定された事項を執行する機関であり、これを監査する機関として監事が置かれ、法人の財産状況や理事の職務執行状況等の監査をおこないます。
監事とは、医療法人の内部管理を目的として業務や財産などの監査を担当する者のことであり、改正医療法によって監事の業務が強化されました。株式会社では監査役に当たり、原則的に1人以上置くことが求められています。監事は医療法人の業務や財産の状況を監査するため、実際に法人監査業務を実施できない者が名目的に選任されていることは適当でなく、公平に財務諸表を監査できる者が選任されることになっています。また、監査業務をおこなうことから独立性を担保するため、理事、評議員および法人の職員を兼任していないこと、他の役員と親族等の特殊の関係がある者ではないこととされています。医療法人の監事には次の業務があります。取引関係のない知人等の外部の第三者に依頼することが必要ですから、監事の選出に迷う場合は専門家に相談しましょう。
①業務と財産の状況を監査すること
②業務又は財産の状況について、毎会計年度監査報告書を作成し、当該会計年度終了後3ヶ月以内に社員総会または理事に提出すること
③①の規定による監査の結果、医療法人の業務、財産に関し不正の行為、法令、定款、寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを都道府県知事、社員総会、評議会員に報告すること
④③の報告をするために必要があるときは、社員総会を招集すること
⑤業務と財産の状況について、理事に対して意見を述べること

医療法人の事業報告について説明してください

 

医療法人の社員、評議員、債権者から決算書等の閲覧請求があったときには、正当な理由がない限り開示しなければなりません。開示する書類は、事業報告書等、監事の監査報告書、定款または寄附行為です。医療法人の透明性の確保を図る観点から医療法改正により、医療法人は毎会計年度終了後2ヶ月以内に事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、その他厚生労働省令で定める書類(以下「事業報告書等」)を作成しなければなりません(医療法51条)。作成された事業報告書等は、理事から監事に提出されます(医療法51条②)。監事は監査をし、監査報告書を作成することになります(医療法46条の4③三)。事業報告書には大きく、医療法人の概要と事業の概要が記載されます。
・医療法人の概要
医療法人の概要には、医療法人の「名称」「事業所の所在地」「設立認可年月日」「設立登記年月日」および「役員及び評議員」が記されます。「役員及び評議員」には役員の種別(理事長、理事、監事、評議員)、氏名、職務等が記されますが、社会医療法人および特定医療法人以外の医療法人は記載しなくても差し支えないとされています。
・事業の概要
「本来業務」「附帯業務」「収益業務」の概要の他、「当該会計年度内に社員総会または評議員会で議決又は同意した事項」等が記載されます。事業報告書等は閲覧に供しなければならないので、事業報告書は決まった期日までに都道府県に提出することが必要です。
社会医療法人を除く医療法人は、事業報告書、財産目録、損益計算書、貸借対照表、監事の監査報告書、定款または寄附行為の書類を各事務所に備えておき、その社員もしくは評議員または債権者から請求があった際には、正当な理由がある場合を除いてこれらを閲覧に供しなければなりません(平成19年4月1日以後に始まる会計年度から適用)。事業報告書等の閲覧について、この閲覧を行わないことができる「正当な理由」としては法人の執務時間外の閲覧請求などの場合、個人情報の保護の場合や法人の業務の運営が不当に害される恐れがあるケースが考えられます。また、都道府県への届出書類は債権者等のほか一般の者も閱覧でき、閲覧請求があった場合には正当な理由があるか否かを問わずにこれを閲覧に供しなければなりません。閲覧の対象書類は過去3年間に提出された新様式の書類についておこなわれるので、基本的には過去3年間に提出された書類が閲覧対象です。事業報告書の提出期限はきちんと守り、顧問税理士に期限内に提出できるようあらかじめ相談しましょう。

基金拠出型医療法人について説明してください

 

第5次医療法改正の施行日以後は非営利性の徹底に伴い、社団医療法人は「持分なし」の社団医療法人しか設立できなくなりました。しかし、医療法施行規則第30条の37の規定により「持分なし」の社団医療法人の活動資金の調達手段として、定款の定めるところにより基金制度の採用を可能としました。この基金制度を採用した「持分なし」の社団医療法人を「基金拠出型医療法人」といいます。基金とは、「持分なし」の社団医療法人に拠出された金銭やその他の財産で、当該医療法人が拠出者に対して定款の定めるころにより金銭の返還義務を負うものです。「基金拠出型医療法人」を設立するためには、定款に基金を引き受ける者を募集できる旨と以下の事項を規定しておく必要があります。
・基金拠出者の権利に関して規定する
厚生労働省のモデル定款では、本社団は基金の拠出者に対して本社団と基金拠出者との間の合意の定めるところに従い、返還義務を負うことを規定しています。
・基金の返還手続に関して規定する
厚生労働省のモデル定款では、基金の返還手続として次のように規定しています。
1.基金の返還は、定時社員総会の決議によって行わなければならないこと。
2.ある会計年度の貸借対照表の純资産額が、基金(代替基金含む)、資本剰余金、資産につき時価を基準として評価を行ったことにより増加した貸借対照表上の純資産額の合計額を超える場合において、当該会計年度の次の会計年度の決算の決定に関する定時社員総会の前日までの間に限り、当該超過額を返還の総額の限度として返還することができること。
3.基金の返還にあたっては、返還する基金に相当する金額を、代替基金として計上しなければならないこと。
基金制度のポイン卜は以下のようなものです。医療法人設立時に医療法人解散のイメージを持つことも重要です。
・基金は利息を付さない債権(残余財産に含まれない)を指す。
・拠出者への返還額は拠出した当時の額が限度になる。
・基金の返還は定時社員総会の決議が必要。
・基金の返還は、当該会計年度の次の会計年度に関する定時社員総会の前日までになる。
・基金の返還は、貸借対照表上の純資産額が基金の総額等を超える場合における当該超過額を限度とする。
・基金を返還する場合は代替基金を計上する(代替基金を取り崩すことは不可能)。
・基金および代替基金は貸借対照表の純資産の部に計上する。
一方、「出資額限度法人」(平成16年、厚生労働省医政局長通知により設立)は「持分あり」の社団医療法人で、定款の定めにより社員退社時の出資持分払戻請求権や医療法人解散時の残余財産分配請求権の法人財産に及ぶ範囲を、払込出資額を限度とすることを明らかにした「持分あり」の社団医療法人の一類型です。

基金拠出金の返還時期について説明してください

 

基金拠出金の返還時期は、設立総会や基金拠出契約書などで定めた年数を経過した後になりますが、当初定めた年数を経過しても純資産額についての要件を満たしていない場合は返還することはできません。基金の返還に関わる債権には利息を付けることができないので、10年後の返還においては10年前に拠出した金額と同額の返金になります。なお、基金の返還に要する期間は、法人に無理がないのであれば3〜5年間くらいでも認められます。
また、貸借対照表の純資産額が以下の金額の合計額を超える際には、その会計年度の次の会計年度の決算の決定に関する定時社員総会の日の前日までの間に限り、その超過額を返還の総額の限度として返還をすることが可能です。基金拠出時には医療法人の予算と個人の資金等を考えて基金拠出額を決めましょう。
・基金の総額
・資本剰余金の価額
・資産につき時価を基準として評価を行っている場合において、その時価の総額がその取得価額を超えるときは、時価を基準として評価を行ったことにより増加した貸借対照表上の純資産額

医療法人設立のデメリットについて説明してください

 

個人では、従業員が5人未満である場合には必ずしも社会保険の加入義務はありませんが、医療法人の場合には従業員の人数に関係なく強制加入となります。社会保険はその約半分を医療法人が、残り半分を従業員が負担する仕組みになっているので、経営上のコストは上昇することとなります。また、個人では全額損金としていた交際費(飲食・ゴルフ接待等)が、医療法人では一部損金にすることが不可能です。出資金が1億円以下の医療法人の場合、上限600万円を対象にその90%の540万円までしか損金として認められず、600万円を超える部分については一切損金になりません。この限度額が多いか少ないかはそれぞれの事情によると思いますが、交際費の状況も医療法人検討事項の一部として勘案しなければなりません。ただし、中小法人の交際費課税の特例の拡充により、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度において支出した交際費については、限度額が800万円となりその全額が損金として算入することが可能です。
医療法人では剰余金の配当が禁止されており、院長個人への貸付も制限されています。したがって、収益が拡大した場合の利益処分や院長個人の急な資金繰りに柔軟に対応することができません。さらに、法務局に役員変更等の登記が都道府県知事に決算書類の提出が義務づけられるなど必要な事務処理が増えますし、都道府県知事による立入検査等の指導が強化されます。医療法人設立には多くのメリットがありますが、それらを有効に享受できるかどうかは医院個々の経営状況によって異なります。医療法人設立のデメリットの部分も考え合わせて総合的に検討しましょう。

基金拠出型法人と経過措置型法人の違いを説明してください

 

基金拠出型法人とは、平成19年4月1日の新医療法施行後に通常設立される医療法人の形態をいい、持分の定めがありません。一方、経過措置型法人とは平成19年3月31日以前に設立された、持分の定めのある形態の医療法人をいいます。つまり、基金拠出型法人は出資持分がありませんが、経過措置型法人は出資持分があります。また、定款の記載方法について基金拠出型法人は定めがありません。残余財産処分について基金拠出型法人では、本社団が解散した場合の残余財産は、次の者から選定して帰属させるものとします。
(1) 国
(2) 地方自治体
(3) 医療法第31条に定める公的医療機関の開設者
(4) 都道府県医師会または郡市区医師会(一般社団法人または一般財団法人に限る)
(5) 財団医療法人または出資持分なしの社団医療法人
経過措置型法人は社員資格喪失時に次のようになります。
・出資額限度法人
社員資格を喪失した者は、その出資額を限度として払戻しを請求することができる。
・持分あり医療法人
社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる。
残余財産処分については、経過措置型法人では次のようになります。
・出資額限度法人
本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額を限度として配分するものとし、該当支払済出資額を控除してなお残余があるときは、社員総会の議決により、〇〇県知事(厚生労慟大臣)の認可を得て処分するものとする。
・持分あり医療法人
本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額に応じて分配するものとする。
新しい法律になって、医療法人の設立に不安を感じるかもしれませんが、医療法人数は年々増加しています。医療法人設立の際には、自分の希望と設立したメリットが合致するかどうか専門家に相談しましょう。

医療法人の形態について説明してください

 

平成19年4月以降の医療法人の形態は、「旧法の下に作られた経過措置型医療法人」と「新法の下で設立できる医療法人」の2つとなっています。経過措置型医療法人は次のようなものです。なお、旧医療法の下存在していた法人で平成19年4月以後はその設立ができなくなりましたが、当分の間は存続する旨の経過措置が設けられています。
・出資額限度法人
“退社時の持分払戻請求権”と”解散時の残余財産分配請求権”の範囲を「払込出資額」とする法人です。新法の基金拠出型医療法人に類似する形態で、新法施行後も「当分の間」その形態が存続できます。
・持分の定めのある医療法人
旧法の下では、この形態の医療法人がほとんどを占めていました。新法適用後も”退社時の持分払戻請求権”と”解散時の残余財産分配請求権”(いわゆる財産権に関する事項)に関する規定は、「当分の間」その効力を有することとされています。
・「経過措置」の及ぶ範囲
医療法人は、定款または寄附行為に、解散に関する規定を定めなければなりません。平成19年4月1日以後は定款または寄附行為に「解散時の残余財産が出資者に帰属できない」ように定めることが義務づけられました。しかし、この改正を平成19年3月31日以前から存続する持分の定めのある医療法人に適用すると法人の出資者の財産権を侵害することになるので、当分の間は経過措置型医療法人について定款の変更は強制されず、出資者に残余財産が帰属する取扱いが残されることになりました。つまり、経過措置の及ぶ範囲は出資者に帰属する財産権についてのみであり、それ以外の取扱いについては経過措置型医療法人も改正医療法の適用をすべて受けることになります。
・出資者に帰属する財産権
経過措置型医療法人は、改正前の形式の定款に基づき医療法人に出資者の財産権が保証されています。具体的には、退社時の持分の請求権と解散時の残余財産配分請求権の2つを保証するというものです。払戻請求権が行使できるのは退社時または解散時に限られ、理事長を辞任するだけでは払戻請求権を行使することができないため注意しましょう。
<参考>持分の定めのある社団医療法人の旧モデル定款
第9条 社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる。
第34条 本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額に応じて分配するものとする。
新法の下で設立できる医療法人は次のようなものです。
・特定医療法人
租税特別措置法により規定される法人です。法人税の軽減税率適用等、税制上の優遇措置が受けられます。
・社会医療法人
医療法人で医療法の要件に該当することで都迫府県知事の認定を受けたもので、公益性の高い地域医療の中核を担う存在と位置づけられます。本来業務である病院等から生じる所得について法人税が非課税となるような税制上の優遇措置が受けられます。
・基金拠出型医療法人
平成19年施行の第五次医療法改正で新規に導入された「出資持分のない医療法人」の一類型であり、現在この基金制度を採用した医療法人を設立することが多いです(基金制度を採用しないことも可能)。非営利性の徹底という目的から、解散時の残余財産の帰属先を国等から選定することになります

個人借入の引継ぎについて説明してください

 

個人借入れの引継ぎに関しては借入金の残高証明等の書類が必要であり、拠出財産(は医療法人を設立するために提供する財産)を取得したと認められるひも付き負債はすべて引継ぎ可能です。拠出財産は拠出した金額を定款に記載します。また、拠出財産は現金に限らず現物財産(土地や建物)も含まれます。現物財産を拠出することを現物拠出といい、拠出した純額は基金になります。医療法人設立時に拠出できる財産の種類は、土地・建物、現預金、医業未収入金、医薬品・材料など、医療用器械備品、什器備品、電話加入権、保証金等、建築付属設備、その他となっています。
借入金の金額をひも付き負債として引き継ぐ際には、銀行から「負債残高証明及び債務引継承認願」という証明書を発行してもらう必要があるので早めに取り寄せましょう(金融機関により発行の手続にかなり差があります)。他には、金銭消費貸借契約書や返済計画書、資産を購入した時の売買契約書、領収書等も必要です。基本的には移転財産と借入金がひも付きであるということを証明する資料を要します。必要書類や形式は都道府県ごとに異なることがあるので確認しましょう。
医療法人を設立する際には、医療設備(土地や建物などの不動産、医療機器等の器具備品など)を法人所有とすることが可能です。個人がこれらを購入するために銀行等から借入をした際には、その借入金の残額やリース料の残債等はすべて医療法人に引き継ぐことができます。特に銀行からの借入金は利息が経費になるため、できるだけ医療法人に引き継ぐ方が税務上も有利でしょう。また、医療法人名義とする資産がひも付きかどうかの判断基準は、基本的には借入をした日と資産を購入した日を領収書により確認します。医院長個人から医療法人への名義変更については、リース会社の承諾が必要になるので前もって連絡をしましょう。

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